2016年8月 パレスチナ・ビリン村にてイスラエル兵たちと向きあう。 |
Nikki Matsumoto / ニッキー・マツモト 1963年生まれ
ミュージシャン、平和活動家、ボランティア、IT企業家
前書き
何をやってもうまくいく。
崩壊した家庭で育ち、18歳で単身アメリカに渡り、19歳でLAのスラム街の住人となる。とにかく苦労の連続で、33歳で帰国するも人に騙され続け、40過ぎでホームレスに。家族もいない、友人もいない、誰も助けてくれない、その過酷過ぎる状況から奇跡の逆転劇が起こった。とにかく不思議なほど何をやってもうまくいくようになった。資金ゼロ、協力者ゼロで立ち上げたビジネスがあれよあれよという間に成長。今は一生、お金に困らないほどに安定している。私のビジネスは毎月、収入が上がるようにできており、しかも自宅でのんびり、好きな時間に起きて好きな時間に働いて、音楽活動やボランティア等、本当にやりたいことが出来る。将来的に何の心配も要らない。そして誰に命令されることもなく、自分のやりたいように生きる。まさに理想の生活だ。子も孫も何も不安のない生活が送れるだろう。なぜこんなに人生がうまくいったのか・・・時々、頭をかしげたくなる。
全てが奇跡的だ。とにかく幸運の連続だった。どん底の状態で立ち上げたビジネスだったが、ここまで成長するとは思いにもよらなかった。神がかっているとも言えるのだが、やはりそこには理由があるのだろう。その幸運のスタートは他人の意見を一切、聞き入れないことを決心した、というところから始まる。ホームレスになるまでは人の言いなりになっていた。しかし他人の言う事を一切無視し、自分の思ったとおりに生きようと一歩を踏み出した時から、奇跡が始まった。
それも当然と言えば当然なのかも知れない。何故なら私はとにかく考える事を怠らなかった。別に頭が言い訳ではないが、とにかく勉強し、頭を使った。そして生きるに当たって幾つかの理論を組み立て、それを実行し続けた。その理論が実践できれば人生大成功なのであると、今は確信している。それをわかり易く、3つにまとめてみようと思う。
まずは感情を完璧にコントロールすること。次に帰属意識について知ること。それを理解できれば、後はエゴを捨てることで人間は完璧になれる。この理論を実践し、経験を積んでくると何もかもうまくいくようになる。何をどうすればいいのか、すぐにわかるようになる。また、私は大きな病気になったこともないし、入院経験もない。交通事故を起こしたこともない。もちろんそれは偶然もあるだろうし、幸運だったとは言える。だけど50年以上生きてきて、毎日酒を飲み、好きな物を食べて、ここまで元気で、ここまで素晴らしい人生が送れているのは、ただの幸運ではない気がする。この理論を実践してきたか事が要因なのかもしれない。その人間本質の理論について述べる。
人間本質の理論 一「感情のコントロール」
私は怒らない。別に生まれつき温厚だから、という理由ではない。私は怒りというものを、人間に必要ない無駄な感情として捉えている。怒りは憎しみを生む。その憎しみの感情が、いかに世界を不安定にしているか、昨今の世界情勢を見れば明らかだろう。
子供の頃から常に考えていた。何故、人はお金や名声を求めるのだろうか?と。この答えは割りと早く見つかった。人間には孤独を避ける本能があるに違いないというところから理論を発展させた。人類は子孫を作らないと死滅してしまう。動物でも同じだ。だから人間を含む動物は異性を欲し、生殖活動をする必要がある。孤独の身では生殖活動ができない。だから人間には孤独を避ける本能があるのだ。
最低限のお金があれば生活できるのに、必要以上にお金持ちになりたいと思う人間。そうした人たちは孤独に耐えることの出来ない弱い人間なのでは?という仮説を立てた。
そしてそれは名声欲についても言える。目立ちたい、人を支配したい、自分を認めて欲しい、人気が欲しい・・・要するに自己中心的な支配欲、独占欲だが、これらはその人が精神的にひ弱く、孤独になることが怖いから、抱いてしまう欲なのだろう。
19歳の時、アメリカ・ロサンジェルスのスラム街に住んだ。まだ英語もうまくなく、労働ビザを持っていなかった私にできる仕事は深夜のビル清掃くらいのものだった。月給は335ドルだった。日本円にすると4万円程度。友達も家族も誰一人、助けてくれる人はいない。そこで私は自分が実験台になり、人間がどこまで孤独になれるか、試してみた。これはやはり大変な経験だった。虫歯にかかり、歯医者に行くお金もない、誰も助けてくれない、そういう状況を一人でこらえていたら精神が不安定になった。そこで一時、帰国するのだが、人間が耐えうる孤独をぎりぎりまで体験できたことにより私の仮説は完璧な理論に近づいた。
自己中心的行動を続ける人間は特別、孤独に弱い固体である結論である。
そこから発展させたのが何故、人は怒るのかという理論である。実はこの理論は私の独自のものではなく、アメリカのラジオでジョー・ベンソンというコメンテイターが主張していたものだが、人が怒るのは期待を裏切られた時なのである。例えば人から悪口を言われ、怒る。これは人に悪口を言われたくない、という期待が裏切られたことで発生する感情なのである。特に親しく信頼を置いていた友人には裏切られたくない。そういう人に悪口を言われたら、最高にショックである。そして怒りが湧いてくる。しかし付き合いの浅い、これからも接触する機会がないという人に悪口を言われても、そこまでショックではない。期待度が大きいほど、裏切られた時にショックを受け、怒りの感情が湧く。
だから期待をしなければ怒りの感情は抑えられるのである。これを私は長年、実践してきた。私は何についても期待をしない。自分にも、他人にも、社会にも。その代わりに全てを論理的に分析し、予測を立てる。例えばビジネスだが、うまくいくだろう、なんてことは考えない。そうではなく、これをやれば絶対にうまくいく、100%利益になると確信してから実行する。多くの人間はビジネスで失敗するのだが、そういう人を見ていると、失敗するのは当たり前だとわかってしまう。確実に利益になることだけやれば失敗しないのに、人は期待をしてしまうのである。
それは希望的観測というもので、英語でもWishful Thinking と言い、よく議論される。とにかくこれが間違いの基なのだ。人間関係でもビジネスでも、全てにおいて冷静に分析し、絶対的な答えを見出し、それを実行する。そうすれば怒ったり、後悔したり、自分を責めたり、負の感情を持たずに済む。仕事もうまくいく(但し知識を蓄えているという前提があるが)。私が一切、ギャンブルをしないのもこの理由だ。そもそもお金に興味がないから賭け事に意味が見出せない。お金がなくても私は十分、満足な人生を送っていただろう。ビジネスを始めたのは、ただ自分が食っていけて、音楽活動をしていければいいや、という程度のきっかけなのである。それが何故か、一生お金に困らないほどに成功してしまった。一切、期待をしていなかったのに、だ。
私はIT企業家で今や世界の名だたる企業を相手にネットワークを提供している。もちろん、それは短期間で出来ることではない。1980年代初頭にアルヴィン・トフラーの「The Third Wave」という本を読んだ。もちろん英語で出版されたものだが、この本に示されていた、未来にはSOHO (Small Office / Home Office) というビジネス形態が生まれ、うまくやれば会社に行かなくても家で仕事が出来るようになる、という予測に興味を持った。
だからそれを達成するために準備をしていた。数十年の年月をかけてである。ところが周りの日本人にこの考えを全面的に否定された。だけど私はそれを完璧に達成した。貴方にはできないけど、私にはできますよ、というのが凡人には理解できないのである。
人の意見を一切、無視して自分を信じてやってきたおかげで、もう一生お金には困らない。だけど貯金はしない。全て人のため、世界平和のために使っている。東日本大震災の時は地震発生後、4日後に現地に入った。それから10回以上、現地に行ってボランティアをした。冤罪で捕まった外国人を励ますために刑務所に行き支援金を渡し、保釈金を払ってあげた。家賃が払えないと泣きついてくる友人にお金を貸すなんてしょっちゅうだ。そしてパレスチナ支援も全て自費だ。お金を貯めるのではなく、全て困っている人の支援をつぎ込む。私には欲がない。お金持ちになろうと思えばなれる。だけど意味がない。それよりも常に人を陰で支え、困っている人を救い、社会を発展させることが重要なのである。名声というのは無意味だ。世の中の有名人を見ていればわかる。どの著名人も有名人も、人を蹴落としてでも自分が成功したい、という欲だらけの人間である。政治家を見ればわかる。だから世の中が壊れていっているのだ。何故、いまだに人間は政治に期待をするのか?人間本質の理論が理解できないし、行動力もないからである。
理解できる人間は政治から離れ始めている。私は何も期待しているわけではないが、冷静に分析し予測をする。選挙に興味を持つ人は少なくなる一方である。まじめな話、ここまでレベルの低い政治家が並んでいれば当たり前の話だ。
人間本質の理論 二「帰属意識」
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